マーケットトレンド の アジア太平洋カーボンブラック 産業
タイヤと工業用ゴム製品の需要増加
- カーボンブラックは、ゴムコンパウンドに添加することで、放熱性能とハンドリング、トレッド摩耗、燃費を向上させる。また、耐摩耗性も向上する。カーボンブラックは、主にゴム部門の充填剤として使用され、弾性率や引張強度を変化させるなどの補強効果をもたらす。製品の分子間力または凝集力を向上させ、ゴム系接着剤、シーリング剤、コーティング剤に導電性を付与するために使用される。
- 自動車産業の業績は、カーボンブラックの需要を示す重要な指標である。国際自動車工業会(OICA)によると、アジア太平洋地域の自動車生産台数は、2021年に記録された4,600万台に対し、2022年には7%増の5,000万台に達した。
- アジア太平洋地域のゴム・タイヤ産業を支配しているのは中国とインドである。中国は、この地域で最大のゴムタイヤの生産国であり消費国でもある。原材料の十分な入手可能性と政府の支援策が、これらの国々のタイヤ・ゴム産業に積極的に貢献している。
- 中国橡膠工業協会(CRIA)が正式に発表したゴム産業「第14次5ヵ年発展計画の指導要綱によると、中国は2025年までに年間7億400万本のタイヤを生産すると予測されている。その内訳は、乗用車用ラジアルタイヤが5億2700万本、トラック・バス用ラジアルタイヤが1億4800万本、バイアストラック用タイヤが2900万本、超大型工業用タイヤが2万本、農業用タイヤが1200万本、航空機用タイヤが5万4000本である。この拡大は、中国のタイヤ製品に対する国際市場の需要が高まっていることを示唆しており、中国のタイヤ産業が世界市場の主要プレーヤーとして位置づけられている。
- さらに、インドにおける自動車製造の継続的な増加により、様々なタイヤメーカーが同国に新たな生産施設を投資している。例えば、横浜ゴムは2022年4月にアンドラプラデシュ州ヴィシャカパトナムでオフロードタイヤの生産を開始し、1日の製造能力はゴム重量で69トンとなっている。同社はまた、2024年までに開始予定の第2期拡張工事にも取り組んでおり、日産能力は132トンに増加する予定である。
- したがって、上記の要因を考慮すると、カーボンブラックの需要は予測期間中、タイヤおよび工業用ゴム製品分野から増加すると予想される。