マーケットトレンド の アジア太平洋地域のがんバイオマーカー 産業
予測期間中、乳がん市場は大幅なCAGRで成長する見込み
- 乳がんは、患者さんの乳房の細胞が無秩序に増殖・分裂し、腫瘍と呼ばれる組織の塊ができることで発生します。乳がんは、他の種類のがんと比べて最も罹患率の高いがんのひとつであり、治療可能ながんでもあります。乳がんに対する意識の高まりと有病率の上昇は、この分野が他の分野に比べて急成長する主な要因のひとつである。
- この地域における乳がんの有病率の上昇は、同分野の成長を後押しすると予想される。例えば、インド医学研究評議会(ICMR)が2022年12月に発表した2年ごとの報告書によると、2022年のインドにおけるがん患者の全国平均は10万人当たり100.4人で、乳がんと診断される女性が多い(推定10万人当たり105.4人)。また、インドでは推定182,000人が乳がん患者であり、2030年には250,000人に達すると予想されている。このように、同国では乳がんの罹患率が高いため、がんバイオマーカーの需要が増加すると予想され、これが研究セグメントの成長を促進することになる。
- 同様に、Cancer Research and Treatmentが2022年3月に発表した論文によると、韓国では2022年に新たに28,142人の乳がん患者が発生し、そのうち28,032人が女性、110人が男性と推定されている。また、2022年の韓国における乳がんの年齢標準化罹患率は10万人中33.1人であるとしている。このように、韓国では乳がんの負担が大きいため、同分野の成長が期待されている。
- さらに、2022年1月にPubMedが発表した論文によると、南アジアの女性において乳がんと乳房の良性疾患の鑑別に有効な血漿バイオマーカーパネルが開発され、乳がんの補完的診断ツールとして役立つ可能性がある。したがって、乳がんの有病率の上昇や乳がんの早期発見におけるバイオマーカーの利用の増加といった上記の要因は、市場の成長を後押しすると予想される。
予測期間中、日本が大きな市場シェアを占める見込み
- 日本は、国内におけるがんの有病率の上昇、技術的に先進的な製品の発売の増加、老人人口の増加、国内におけるがんに関する研究開発の活発化などの要因により、予測期間中に大きな市場シェアを占めると予想される。
- 例えば、国立がん研究センターが2022年6月に発表したデータによると、2022年に日本で新たにがんと診断された患者は推定101万9000人で、そのうち結腸・直腸がん、胃がん、肺・気管がん、前立腺がん、乳がんが最も多い。したがって、この国の高いがん罹患率は、本調査の予測期間中にがんバイオマーカーの利用を促進すると予想される。
- さらに、Multidisciplinary Digital Publishing Institute(MDPI)が2022年4月に発表した論文によると、日本では、SCRUM-Japan(固形がん)やMASTER KEYプロジェクトなどのがん精密医療イニシアチブが、進行中の臨床試験に参加できる可能性のある変異を持つがん患者を特定するのに役立つスクリーニングプラットフォームとして機能していることが確認されている。このような取り組みで蓄積されたゲノムおよび臨床データは、しばしば臨床ゲノムデータベースの拡大に寄与し、そこから新規バイオマーカーが同定される。
- このように、日本ではがんバイオマーカーに関する研究活動が活発化していることも、同国の市場成長を後押しすると予想される。さらに、がんは主に高齢者で診断されるため、日本における高齢者人口の増加も市場の成長を後押しすると予想される。このように、高齢化人口の増加やがん有病率の上昇など、上記の要因が市場成長を後押しすると予想される。