マーケットトレンド の アジア太平洋地域の弾薬 産業
予測期間中、軍事セグメントが市場を支配する見込み
- アジア太平洋地域の弾薬市場を支配しているのは軍事部門である。この優位性は、テロリズム、領土紛争、地政学的緊張から生じる脅威を鎮圧するために軍隊による弾薬の調達が増加しているためである。各国は不法侵入や様々な形態の密売から国境を守るために大砲や迫撃砲システムを調達しており、弾薬の需要を生み出している。インド、日本、中国などの国による防衛費の増加と軍備の拡大が市場の成長を後押ししている。2022年、中国とインドは世界第2位と第4位の国防支出国であり、国防予算はそれぞれ2920億米ドルと814億米ドルであった。
- 例えば、2022年10月、ノルウェーを拠点とする弾薬メーカーNammo ASは、韓国のHyundai RotemとK2 Black Panther主力戦車(MBT)用の新しい120mm弾薬を開発することで合意した。さらに、インド陸軍は2023年1月、国防調達手続き(Defense Acquisition Procedure)のファスト・トラック手続き(FTP)を利用した緊急調達として、9×19mm機関拳銃5,000丁を推定600万米ドルで独自調達することを要請した。このように、軍事力の強化と先進兵器の調達に向けた支出の増加が、この地域の市場成長を牽引している。

予測期間中、インドが最も高い成長を示す
- 予測期間中、インドは市場で大きな成長を示すと推定される。成長の背景には、国防費の増加、テロの増加、中国やパキスタンなど近隣諸国間の国境を越えた紛争がある。政府は、殺傷能力を強化した新型先端兵器の調達に注力しており、インドの弾薬需要を牽引している。テロ活動の拡大や、統制線(LOC)に沿ったインドと中国間の緊張の高まりは、防衛分野への支出の増加や防衛力の強化につながっている。
- インドには国内外に多数のサプライヤーが存在し、政府への武器・弾薬の供給をめぐって激しい競争を繰り広げている。ロッキード・マーチン社やBAEシステムズ社などの大手グローバル企業や、カルヤニ・グループ、タタ・アドバンスト・システムズ社、マヒンドラ・ディフェンス・システムズ社などの国内サプライヤーが、インド防衛市場の有力プレーヤーである。政府所有の国防研究開発機構(DRDO)は、同国の政府部門で活動する兵器システムの最大サプライヤーである。例えば、2023年11月、インドは、中国との実質的支配線(Line of Actual Control)のような高高度の国境地帯での機動火力を強化するため、105ミリ砲を搭載した200榴弾砲を新たに調達する計画を発表した。このように、次世代ライフルと弾薬の調達に向けた投資の高まりが、この地域全体の市場成長を牽引している。
