マーケットトレンド の アルゼンチンの太陽エネルギー 産業
太陽光発電(PV)が最大のセグメントになる見込み
- 太陽光発電のコストは近年低下しているが、その主な理由は、この分野の研究開発を促進するために政府や民間団体が国際的なレベルで行っているイニシアティブによるものである。このコスト削減により、アルゼンチンでは太陽光発電技術、特にソーラーPV技術がより身近なものとなり、2021年のソーラーPVの総設備容量は1,060MWに達する。
- 電力需要の拡大も、市場の成長を促す大きな要因となっている。また、従来の発電所の二酸化炭素排出量の多さに対する懸念も、アルゼンチンにおける電力需要の増加に対応するための太陽光発電の需要増加を後押しすると予想される。
- アルゼンチンでは国土の半分以上が年間平均3.5kWh/m2以上の日照を受けており、太陽光発電は高い電力需要に対応する技術的に実行可能な選択肢となっている。2021年には、アルゼンチンの再生可能エネルギーの12.7%以上を太陽光発電が占め、その大半は太陽光発電によるものである。
- RenovArプログラムの下、アルゼンチンは2025年までに10,000MWの再生可能電力を送電網に追加する計画である。この目標を実現するため、第1回再生可能エネルギー入札では、合計容量2,834MWの太陽光発電プロジェクト58件が応募され、太陽光発電市場をさらに牽引している。
- アルゼンチンの太陽光発電市場は比較的未発達である。しかし、太陽光発電のコストが低下しているため、アルゼンチン政府は太陽光発電に少額の投資を行っており、その結果、この分野は徐々に成長すると予想されている。例えば、2022年2月、国営石油ガス公社YPFが300MWのパルケ・ソーラー・ゾンダ・プロジェクトの建設を開始した。
- 同国では、複数の太陽光発電プロジェクトがパイプラインや計画段階にあり、アルゼンチンの太陽エネルギー市場の成長を大きく後押しすると期待されている。
太陽光発電開発に対する政府の政策が市場を牽引
- これまでのところ、RenovArプログラムは投資家の強い関心を集めており、入札ラウンドの大幅なオーバーサブスクリプションにつながっている。入札参加者は、配電公益事業者や卸売市場の大口需要家に代わってオフテーカーを務めるCAMMESA(Compañía Administradora del Mercado Mayorista Eléctrico)との20年間の電力購入契約(PPA)の締結を競っている。
- アルゼンチンの太陽エネルギー発電量は、わずか5年間で100倍以上に増加し、2017年の16.4GWhから2021年には約2.19TWhとなり、アルゼンチンの太陽エネルギー発電量は63%増加した。
- 同国の太陽光発電部門は、官民パートナーシップ(PPP)法や、同国経済の重要部門への民間投資を規制・奨励する取り組みなどの政府政策に後押しされ、緩やかなペースで成長している。エネルギーや輸送プロジェクトなど、主に主要なインフラや社会セクターにわたる30以上の太陽光発電プロジェクトが、PPPモデルの下で実施される見込みである。
- こうした動きから、同国の太陽光エネルギー市場は、大規模な公益事業用太陽光発電プロジェクトが主流になると予想される。2021年12月、アルゼンチンの発電事業者Genneia SAが80MWのSierras de Ullum太陽光発電所の建設を開始した。この6,000万米ドルのプロジェクトは、2022年末までに試運転が開始される予定である。
- 同様に2022年2月には、YPF Luz社がサンフアンで100MWのZonda太陽光発電所プロジェクトの建設を開始した。9,300万米ドル相当の第1段階が完了した後、同社は100メガワット×3段階で発電容量を300メガワットにアップグレードする予定だ。こうした大規模な公益事業プロジェクトが、予測期間中のアルゼンチンの太陽光発電市場を牽引するとみられる。
- 同国におけるこのような太陽光発電設備の発展や、再生可能エネルギー導入の増加は、今後数年間におけるアルゼンチンの太陽エネルギー市場の成長を促進すると思われる。