マーケットトレンド の アメリカ航空宇宙複合材 産業
2019年、商業部門が最も高い市場シェアを占めた
北米と中南米では、観光、個人旅行、ビジネスでの航空需要が伸びているため、この地域の航空旅客輸送量が急増しており、これがさまざまな航空会社の拡張計画(機材や路線網)に拍車をかけている。航空会社の機材近代化計画は、ボーイング787、ボーイング777X、エアバスA320ファミリー、エアバスA350XWBなどの新世代の民間航空機に対する需要を生み出している。ボーイング787は50%(重量比)が複合材でできており、ボーイング777Xは世界最大の複合材翼を持つ。また、A320の主要構造はアラミド繊維(AFRP)、ガラス繊維(GFRP)、炭素繊維(CFRP)強化プラスチックによる複合構造であり、A350XWBの主翼構造と胴体はCFRP製である。燃料消費を最小限に抑えるために航空機を軽量化するための投資が増加しており、民間航空機の複合材への投資が増加すると予想されている。この目標を達成するため、翼構造、スラストリバーサー、航空機ナセル、エンジン部品など様々な部品メーカーが複合材を採用している。2020年1月、ロールス・ロイス社は、ジェットエンジン用の炭素繊維ファンブレードとファンケースを製造する新施設を開設する計画を発表した
予測期間中、北米が市場を支配する
北米地域は現在市場を支配しており、予測期間中もその支配が続くと予想されている。これは主に、米国とカナダにおける旅客輸送量の増加によるものである。航空会社による運航路線の増加だけでなく、航空機の拡張と近代化計画が新たな航空機調達を後押ししている。また、軍用機の近代化計画では、米空軍が今後数年間に幅広い軍用機の取得を計画している。米国政府は2020年2月、F-15戦闘機の第4世代バージョンであるF-15EXを取得する計画を発表した(F-15の機体は、ボロン/エポキシ・エムペンスキンとカーボンファイバー/エポキシ・スピードブレーキを含む2%の複合材料で作られている)。これらの航空機は、同国が保有するF-35戦闘機(約40%が複合材製)や、今後数年間に就役予定の戦闘ドローンを補完することになる。こうした投資に加え、政府は宇宙開発プログラムにも投資している。2021年度予算で、政府は米航空宇宙局(NASA)の有人宇宙探査プログラムに250億米ドル以上を割り当てた。このような投資により、今後打ち上げが計画されている宇宙開発プログラムへの複合材料の浸透が進むと予想され、この地域の市場成長を加速させることが期待される